衛星落下? 撃墜準備完了

2008年02月20日 16:40

CNNによると「米政府の当局者が26日,比較的大きなスパイ衛星が2月から3月にかけて地球に落下,衝突し,有害物質が散らばるおそれがあると警告した」とのことです. CNN.co.jp: http://www.cnn.co.jp/science/CNN200801270005.htmlこの手の衛星落下の話題は,アメリカのTVドラマでも「実は毎週のように連絡があるものの,誰も気に留めておらず,実際問題にもなっていない」とかネタにされているくらいなので,まぁ,それほど... 衛星落下?

衛星落下問題ですが,姿勢制御の燃料としてヒドラジンが満載されているそうです.といっても,落下地点は北米のおそらく砂漠地帯が想定され,地上激突によってヒドラジンが霧散しても,特に人に被害がでるようなことはなさそうです.

しかし,さすがアメリカです.衛星の機密を保持したい,以前中国が行った衛星破壊実験を実際にやりたい,戦略ミサイル防衛構想の格好のデモンストレーションになる,もし,人口密集地に落ちたら危ないじゃないか等の理由(一番最後の理由は,誰しもが表向きの理由だろうなと思っていますが)からミサイルで撃墜してしまおうという話になりました.

以下の記事によると撃墜実験の予定日時は,米国東部標準時2月20日の午後10時30分ごろ(日本時間2月21日午前0時30分ごろ)を予定されています.

 撃破されたスパイ衛星の破片はカナダ上空へ? ハワイ付近上空で撃破を計画

衛星破壊に用いるミサイルは,SM-3(Standart Missile 3)で3段ロケット型の艦上発射型ミサイルです.イージス戦闘システムの制御下で発射されます.ミサイルと行っても爆発する訳ではなく,激突の衝撃だけで衛星を破壊しようという試みだそうです.爆風を利用できない分,衛星にぶつけるのが大変ですが,冷たい宇宙空間中で唯一の熱源を狙う訳なので,赤外線誘導が有効に効きそうです.本来弾道ミサイル防衛構想用のミサイルだそうですが,今回衛星用にソフトウェアが更新されたとのことです.本来の撃墜対象であるブーストしたミサイルより,今回の衛星の方がはるかに移動速度が速いので,きちんと誘導しきれるのかどうかそこは心配です

ちなみに以前,中国の衛星爆破実験で問題になったスペースデプリの問題は,今回は大丈夫とのこと.かなり低い高度まで引きつけてから撃墜すること.また,ミサイルの爆発を利用せず,ミサイルを直接衛星に激突させてその衝撃で破壊することから,衛星軌道に乗るようなデプリは出ないとのことです.要するに,既に地球の重力に引っ張られている位置で破壊するし,衛星の移動エネルギーを相殺する方向でミサイルをぶつけて破壊するので,そこででたデプリを衛星軌道に乗せるだけの運動エネルギーは生まれず,デプリは割とすぐ地球の重力に捕まって,地上に落下してしまう(その際燃え尽きてしまう)ということだそうです.

衛星撃墜のため配備された艦艇は,タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「レイク・エリー」,アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ディケーター」「ラッセル」です.SM-3はVLSに搭載されており,ミサイルハンガーから直接発射されます.レイク・エリーは,昨年11月に弾道ミサイル防衛構想の実験でSM-3を2発発射し,実験を成功させているとのこと.お手並み拝見といった処でしょうか.





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